ゼロ年代ジャパニーズ・エレクトロニカ・シーンをリードしたaus(アウス)が、15年ぶりとなるニューアルバム『Everis』をイギリスの老舗レコードレーベル〈Lo Recordings〉より発表します。
『Everis』は、ストリングス、ピアノ、クラリネット、フルート、ドラムなど様々な楽器と声、エレクトロニクスを組み合わせ、モダン・クラシカル、インディー、ジャズ、アバンギャルド、フォークといった異質なジャンルから抜き出したアイデアを包含した美しいサウンドスケープ作品。日常生活の振動が、親密なフィールドレコーディング、映画のようなストリングス、穏やかさと鋭さとの間を揺れ動く多彩なエレクトロニカと絡み合い、aus史上最もエモーショナルなアルバムに仕上がりました。
2017年に起こった空き巣事件によって、楽曲データを盗難された後、ausはPC上のディテールを追求するのではなく、心の奥底に潜む個人的なストーリーから何かを作り出そうと決心した、といいます。携帯電話に記録されていたビデオやフィールドレコーディングと組み合わせ、つながりの消えてしまった記憶の間に音楽のシナプスを作り出すことに取り掛かったのです。アルバムには自身が主宰するレーベル〈FLAU〉のHenning Schmiedtや高原久実、Noah、Danny Norbury、Emma Gatrillに加え、親交深い日本人アーティスト Gutevolkと横手ありさ、〈ECM〉からもリリースするハルダンゲル・フィドル奏者 Benedicte Maurseth、英国の即興音楽家 Patrick Farmer、オーストリアの音響作家 Glim、メルボルンのシンガーソングライター Grand Salvoら多彩なゲストが参加。ミニマリズムの反転と絵描き歌のようなレイヤリングというアイデアによって、パレットの中で混ぜ合わせられた大量の音の破片〜駅の改札、商店街、空港の滑走路、校舎から聴こえる吹奏楽、旅先で出会った民謡など〜、個人的な記憶に関連する日常の断片が古いアナログ機材を通して有機的にコラージュされ、全編アトモスフェリックな美しさを讃えています。